Rina Chandran
[4日 トムソン・ロイター財団] - 米国の非営利組織フリーダム・ハウスは4日に公表した年次報告書で、人工知能(AI)の急速な発展は政府のオンライン検閲強化や偽情報の拡散を助長する恐れがあり、人権に深刻な脅威をもたらす可能性があると指摘した。
近いうちにインターネット上の情報の99%が生成AIが生み出したコンテンツになるとの試算もある。各国政府の対応は遅れており、AIの倫理的使用に関する法律を制定した国はほとんどない。一方で、安全保障を理由に顔認証などのAI技術を駆使した監視システムを築いている国もある。
フリーダム・ハウスは2022年6月から23年5月までの間に少なくとも16カ国でAIベースの生成ツールが政治や社会に関する情報を歪曲するために使用されたと懸念を示した。
一方で、「AIが安全かつ公正に開発・導入されれば、人々は権威主義的な検閲を回避し、偽情報に対抗し、人権侵害を記録することができる」と指摘。AI技術でファクトチェックを行ったり、衛星画像やソーシャルメディアへの投稿を分析することで紛争地域の人権侵害を見つけることが可能だとしている。