Katie Paul
[ニューヨーク 9日 ロイター] - 米オープンAIが生成型AI(人口知能)「チャットGPT」を公開し、世界を驚かせてから1年。ニューヨークで開かれた「ロイターネクスト」会議では、参加した企業幹部や政府関係者、市民団体関係者から、生成型AIはまだ大部分が実験的な段階にあり例外は限られる、との声が相次いだ。
非営利団体フューチャー・オブ・ライフ・インスティテュートの創設者でエグゼクティブディレクターのアンソニー・アギーレ氏は「学んだのは、『何かがある程度できる』と『特定の目的について十分にうまくできる』の間にはギャップがあるということだと思う」と述べた。
同氏は、自動運転車の本格的な普及が進まないことを例に挙げ、自動運転車は「今の時点である程度のレベルでは機能するが、人間に取って代わるほどの信頼性はない。それは想定よりも相当難しいことが分かった」と述べた。
アマゾンのAWSで応用科学部門のディレクターを務めるシェリー・マーカス氏は、生成型AIは顧客の間で導入後の進展にばらつきがあると指摘。「稼動しているたくさんの生成型AIを目にする一方で、着手したばかりの顧客もいる」とした。
既に生成型AIの利用が広がっている分野の1つがコンピューターのプログラム作成。マイクロソフトの法人部門副社長のリリ・チェン氏は、傘下のソースコード共有サイト、ギットハブではプログラムの半分程度がAI支援ツールの「コパイロット」を使って作成されていると明かした。
一方、金融業界の関係者によると、同業界でもコンピュータープログラムや文書作成、資本配分の効率化といった業務にAIモデルが積極的に導入されているが、金融サービスには規制があるため慎重な姿勢で臨んでいるという。
複数の企業幹部が、正確さが重要な分野に生成型AI技術を導入する際には、ゆっくりと慎重に進めるべきだと強調した。