■業績動向
1. 2017年3月期の業績概要
ランドコンピュータ (T:3924)の2017年3月期の業績は、売上高が前期比2.8%減の7,208百万円、営業利益が同34.2%減の367百万円、経常利益が同29.2%減の371百万円、当期純利益が同25.0%減の242百万円となった。
第2四半期の決算発表時に通期予想を下方修正していたが、実績はそれを下回る結果となった。
サービスラインごとの売上高の動向は、クラウドコンピューティングを中心とするパッケージベースSI・サービスが前期比55.4%の大幅な増加となったが、主力のシステムインテグレーション・サービスが減少した。
システムインテグレーション・サービスの中でも同社が得意とし、前期に同サービスラインの43.8%、総売上高でも34.1%を占めた金融業向けが前期比18.0%の減収になった。
マイナス金利政策により金融機関がシステム投資を延伸したため、銀行が前期比20.0%減、保険が同12.9%減、証券が50.1%減であった。
経常利益の減少要因は、当期発生の大口赤字プロジェクト(-95百万円)、受注損失引当金の増加(-26百万円)、減収による売上総利益の減少(-33百万円)、販管費の増加(-85百万円)であった。
増益要因は、効率化による売上原価の低減(+49百万円)、前期発生した株式公開費用(39百万円)がなくなったことが挙げられる。
特に、第2四半期以降に発生した不採算プロジェクトの収束を目指し、大幅な人員補強を行った結果、多額の人件費及び外注費が発生した。
2018年3月期以降に発生が見込まれる追加コストを原価として全額損失引当金を計上した。
不採算案件に要員を取られ、新たな受注獲得の対応が遅れて減収を招くという、負の連鎖が生じた。
2. 財務状況と経営指標、キャッシュ・フロー計算書
(1) 貸借対照表
2017年3月期末の総資産は、4,206百万円と前期末比194百万円減少した。
資産は、売上債権が109百万円増加し、有価証券が100百万円増えた一方、現金及び預金が405百万円減少した。
負債は、買掛金が179百万円減少した。
有利子負債はなく、自己資本比率は66.2%と財務の安全性は高い。
(2) 経営指標
収益性を表す経営指標のROEは、前期の14.5%から11.5%に低下した。
自己資本が増加した一方、減収減益であったため、総資産回転率と財務レバレッジが低下し、売上高当期利益率も下落した。
(3) キャッシュ・フロー計算書
現金及び現金同等物の当期末残高は、1,387百万円と前期比310百万円減少した。
キャッシュ・フローは、営業活動、投資活動、財務活動のすべてがマイナスであった。
売上債権が増加したものの、上場を機に支払の早期化に努め仕入債務が減少したことが、営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスの一因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
1. 2017年3月期の業績概要
ランドコンピュータ (T:3924)の2017年3月期の業績は、売上高が前期比2.8%減の7,208百万円、営業利益が同34.2%減の367百万円、経常利益が同29.2%減の371百万円、当期純利益が同25.0%減の242百万円となった。
第2四半期の決算発表時に通期予想を下方修正していたが、実績はそれを下回る結果となった。
サービスラインごとの売上高の動向は、クラウドコンピューティングを中心とするパッケージベースSI・サービスが前期比55.4%の大幅な増加となったが、主力のシステムインテグレーション・サービスが減少した。
システムインテグレーション・サービスの中でも同社が得意とし、前期に同サービスラインの43.8%、総売上高でも34.1%を占めた金融業向けが前期比18.0%の減収になった。
マイナス金利政策により金融機関がシステム投資を延伸したため、銀行が前期比20.0%減、保険が同12.9%減、証券が50.1%減であった。
経常利益の減少要因は、当期発生の大口赤字プロジェクト(-95百万円)、受注損失引当金の増加(-26百万円)、減収による売上総利益の減少(-33百万円)、販管費の増加(-85百万円)であった。
増益要因は、効率化による売上原価の低減(+49百万円)、前期発生した株式公開費用(39百万円)がなくなったことが挙げられる。
特に、第2四半期以降に発生した不採算プロジェクトの収束を目指し、大幅な人員補強を行った結果、多額の人件費及び外注費が発生した。
2018年3月期以降に発生が見込まれる追加コストを原価として全額損失引当金を計上した。
不採算案件に要員を取られ、新たな受注獲得の対応が遅れて減収を招くという、負の連鎖が生じた。
2. 財務状況と経営指標、キャッシュ・フロー計算書
(1) 貸借対照表
2017年3月期末の総資産は、4,206百万円と前期末比194百万円減少した。
資産は、売上債権が109百万円増加し、有価証券が100百万円増えた一方、現金及び預金が405百万円減少した。
負債は、買掛金が179百万円減少した。
有利子負債はなく、自己資本比率は66.2%と財務の安全性は高い。
(2) 経営指標
収益性を表す経営指標のROEは、前期の14.5%から11.5%に低下した。
自己資本が増加した一方、減収減益であったため、総資産回転率と財務レバレッジが低下し、売上高当期利益率も下落した。
(3) キャッシュ・フロー計算書
現金及び現金同等物の当期末残高は、1,387百万円と前期比310百万円減少した。
キャッシュ・フローは、営業活動、投資活動、財務活動のすべてがマイナスであった。
売上債権が増加したものの、上場を機に支払の早期化に努め仕入債務が減少したことが、営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスの一因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)