[シドニー 6日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は6日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを過去最低の1%に据え置いた。6月、7月と2カ月連続で実施した利下げの影響を見極める狙いとみられる。だが、市場は、世界的な緩和の波によって豪中銀も年内に追加利下げを迫られるとみている。
ロウ総裁は声明で「理事会は引き続き労働市場の動向を注視し、必要なら金融政策をさらに緩和する」と述べ、追加緩和が必要となる可能性に言及。長期にわたる低金利が必要と予想するのは合理的とした。
市場は10月までに0.75%への利下げ、来年初めまでに0.5%への利下げがあると予想している。
JPモルガン・チェースのエコノミスト、ベン・ジャーマン氏は「豪中銀が、失業率が上昇傾向になることを懸念しているのなら、再び行動するという印象を持った」と述べた。同社は年内は金利据え置き、来年初めに利下げを再開すると予想している。
豪中銀は9日に最新の経済予測を発表し、ロウ総裁は議会で経済や金融政策の見通しなどについて証言する。
中銀は、インフレ率が目標レンジ(2─3%)に到達するのは2020年になると予想。理事会後に発表された声明で「インフレ率は2020年が2%弱、21年は2%強」との見通しを示した。
ロウ総裁は7月下旬、追加緩和の必要性に関し「低金利が長期間続くと予想するのは妥当」と発言。長期金利や自国通貨を押し下げるため多くの国の中銀が用いているフォワードガイダンスの導入に向けた動きと受け止められた。
それは一定の効果をもたらし、豪10年債利回り (AU10YT=RR)はここ1カ月で21ベーシスポイント(bp)低下し、過去最低の0.993%となり、豪ドルは対米ドルで1.2%下落し1豪ドル=0.6748米ドルと7カ月ぶりの豪ドル安水準をつけた。
<景気さえない中で貿易は好調>
連邦統計局が6日発表した6月の貿易収支(季節調整済み)は80億豪ドル(54億3000万ドル)の黒字と、過去最高を記録。これにより、第2・四半期の経常収支が1970年代以降で初めて黒字に転じる可能性が出てきた。
JPモルガンのジャーマン氏は、豪政府が将来的に財政刺激策を打ち出す可能性があるとみており「そうなれば豪中銀への圧力が幾分和らぐが、すぐには実現しないと思う」と述べた。
世界的な金融緩和のうねりをもたらした米中貿易戦争の緊迫化を受け、エコノミストは、豪が高水準の貿易黒字を維持できるか不透明としている。
理事会の声明は、トランプ米政権が前週発表した対中追加関税には言及していないが、ロウ総裁は9日の議会証言でそれに関する見解を求められることが予想される。
シティのエコノミスト、ジョシュ・ウィリアムソン氏は、ロウ総裁がかねてから貿易を巡る状況悪化を懸念していたことを考えると、対外収支の改善や輸出の底堅さは、政策据え置き決定に若干ながら影響したとの見方を示した。ただ、貿易黒字がさらに拡大することはなく、年後半には若干縮小すると予想。
「今後、豪中銀の金融政策討議で重要な検討項目となるのは、世界的なショックのリスク以外では、国内労働市場の動向だろう」と述べた。
*内容を追加しました。
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