[シドニー 9日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)のロウ総裁は9日、ゼロ金利や量的緩和が必要になる可能性は低いものの、必要になった場合に備えて他国中銀の非伝統的政策を研究することが賢明だとの見方を示した。
総裁は議会の委員会で行った証言で、中銀の基本シナリオでは景気が上向くと想定していると強調し、豪経済は緩やかな転換点に達した可能性があるとの見方を示した。
しかし、米中貿易摩擦が激化し、豪中銀による6月と7月の利下げによって政策金利が過去最低の1%まで低下する中、議員からは他のシナリオについて質問が出た。
総裁は「(政策金利が)ゼロまで低下する可能性は低いものの、まったくないわけではない。状況次第で正当化されれば、非伝統的措置を講じる用意がある。ただ、それを回避できることを望んでいる」と述べた。
その上で、ゼロ金利が必要になるシナリオとして、世界各国の中銀が金利をゼロに引き下げた場合と、国内経済が急速に冷え込んだ場合の2つを挙げた。
「すべての中銀がゼロ金利に向かう事態にならないことを望むが、わずかながらその可能性はあり、そうなった場合にどう対応するか考えるのが賢明だ」と述べた。
2つ目のシナリオについては「豪経済成長が中心シナリオを大幅に下回った場合だ」とし、その際には金融、財政、構造面のあらゆる政策上の選択肢を検討することが必要になる」との考えを示した。
さらに、量的緩和を導入する場合、政府債を買い入れる可能性が最も高いと指摘した。総裁は「原則として、(量的緩和は)金利がどの水準にあっても実施できるが、現行の金利水準、もしくは現行をやや下回る水準では行わないと想定するのが合理的だ」とし、「(量的緩和導入には)金利がゼロに非常に近くなる必要がある」と述べた。
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