[ブエノスアイレス 14日 ロイター] - アルゼンチンのマクリ大統領は14日、所得税減税のほか社会福祉事業への助成金増額、ガソリン価格の90日間凍結などの景気対策を打ち出した。ただ、今のところ通貨安に歯止めはかかっていない。
政府はこのほか、子供を養育する失業世帯への補助金支給や最低賃金引き上げなど実施する方針。
11日に実施された10月の大統領選挙の予備選挙で、野党候補のフェルナンデス元首相が首位となり、マクリ氏の再選が危ぶまれる状況となった。
マクリ大統領は「有権者の声を聞いた」とし、「これらの措置は1700万人の労働者、およびその家族に恩恵をもたらす」と述べた。また、野党候補と会談する用意があることも示した。
<躍進の元首相「景気対策、遅きに失した」>
大統領選の予備選挙結果を受け、通貨ペソは週明けから急落。12日の取引で30%安の1ドル=65ペソと過去最安値を更新し、13日は4.29%安の55.9ペソで取引を終了。この日は12.3%安の61ペソで取引を開始した。その後やや持ち直し、4.77%安で推移した。
アルゼンチン中銀は14日、ペソ安定化に向けさらに5000万ドルの外貨準備を売却、今週の売却額は3億0500万ドルに達した。
大統領選で争うフェルナンデス元首相はマクリ氏の新しい経済対策について、前向きだが遅きに失したと指摘した。
ラジオのインタビューで、自国の外貨準備が枯渇するリスクにも言及。マクリ氏との会談は理にかなわないとしつつ、政府を支援する考えを示した。
ブラジルのボルソナロ大統領は、アルゼンチンの予備選で「左派の一味」が躍進し、同国が混乱に向かいつつあるとの認識を示した。
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