[香港 15日 ロイター] - 香港政府は15日、191億香港ドル(24億4000万ドル)規模の景気対策を発表した。抗議活動の激化や米中貿易戦争の長期化が香港経済の大きな重しとなる中、景気のてこ入れを図る。
香港の陳茂波財政長官は会見で、香港の今年の域内総生産(GDP)伸び率予想を従来の2─3%から0─1%に下方修正すると表明。景気対策には貧困層や企業向けの補助金、給与税の還付拡大などが盛り込まれるとした上で「経済に対する逆風は引き続き非常に厳しいと想定するのが妥当だ」と語った。同時に抗議活動による政治的圧力に屈して今回の景気対策を発表したわけではないとも強調した。
香港政府トップの林鄭月娥行政長官は先週、「津波」のように景気が悪化しつつあると表明。これまで以上に「大胆に」景気を下支えすると述べていた。香港政府は16日に第2・四半期の統計と最新の経済予測を発表する。
第2・四半期の香港のGDP速報値は前年同期比0.6%増と、予想を大幅に下回った。伸び率は第1・四半期と同水準。前期比ではマイナス成長となった。
香港ではデモ参加者らが空港ロビーを占拠するなど一連の抗議活動の激化に伴い、旅行客によるホテル予約のキャンセルが相次いでおり、小売り店の売り上げも大幅に落ち込むのではないかと懸念されている。
MUFG国際市場調査部(東アジア担当)のクリフ・タン氏は、世界経済が景気後退(リセッション)に陥ろうとしている時に、香港だけ無傷ではいられないと述べ、経済対策の効果は限定的との考えを示した。
*内容を追加しました。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20190815T103719+0000