[ロンドン/ジブラルタル 15日 ロイター] - 英領ジブラルタルは15日、イランの石油タンカー「グレース1」の解放を決めた。イランが拿捕(だほ)した英船籍タンカー解放の可能性に道を開いた。
英海兵隊は7月4日、欧州連合(EU)の制裁に違反してシリアに原油を輸送していた疑いでグレース1をジブラルタル沖で拿捕(だほ)していた。
一方、イランは同19日、英船籍の石油タンカー「ステナ・インペロ」を拿捕したと発表。報復措置の可能性が取り沙汰された。
ジブラルタルのピカルド自治政府首相は、イラン側がシリアで石油210万バレルを陸揚げしないと書面で公式に伝えてきたことを受け、拿捕命令の解除を決めた。ただ、まだ解放していないと説明した。現時点で出港予定は不明だ。
ジブラルタル自治政府は、グレース1について米司法省が押収を申請したと明かした。ピカルド氏は「独立した共助当局の問題であり、別の手続きの要請には同当局が客観的な法的判断を下す」と述べた。
イランはグレース1が間もなくジブラルタルをたつとの認識を示し、ザリフ外相は解放を防ごうとする米国の動きは「海賊行為」だと非難。在ロンドンのイラン大使は「米国は土壇場で必死に解放阻止を図ったが惨敗した」とツイッターに投稿した。
イラン港湾海事局の高官はグレース1の行き先について、同船保有者の話として「地中海の港に向かう」と半国営メフル通信に説明。保有者は明らかにしなかった。
*内容を追加しました。