[ソウル 16日 ロイター] - 韓国軍合同参謀本部は16日、北朝鮮が同日朝、同国東部沿岸から飛翔体を2発発射したと明らかにした。北朝鮮は先週始まった米韓合同軍事演習に抗議し、ここ数週間に短距離ミサイルの発射を繰り返している。
韓国政府は国家安全保障会議(NSC)を開き、今回の発射について協議した。
日本の防衛省は、日本の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていないとのコメントを発表した。
米政府当局者は匿名を条件に、最初の情報は少なくとも1発の飛翔体が北朝鮮によって発射されたことを示しており、飛翔体は過去数週間に発射された短距離ミサイルと同様とみられるとの見解を示した。
別の当局者によると、米国は日韓と協議している。
韓国軍合同参謀本部は「未確認の飛翔体」が16日午前8時すぎ(日本時間同時刻)に発射され、約230キロ飛行し、高度は30キロだったとしている。
16日朝には、北朝鮮で南北関係を担当する祖国平和統一委員会の報道官が、韓国の文在寅大統領が15日の演説で2045年までに南北統一を目指すと表明し、北朝鮮に対話を呼びかけたことを批判していた。
報道官は、南北対話が失速し、両国首脳による昨年の歴史的会談での合意の実行が行き詰まっているのは完全に韓国の責任だと主張し、米韓軍事演習は北朝鮮に対する韓国の敵意の表れだとあらためて非難。
その上で「韓国当局者とこれ以上話すことはなく、再び対座する気もない」と言明した。
韓国統一省は、文大統領に関する北朝鮮側の発言について、南北の合意に「沿わない」とし、両国間の関係発展に寄与しないとの見解を示した。
また、NSCの当局者らは会議後、米韓合同軍事演習について、朝鮮半島における連合軍による戦時統制を韓国が最終的に担えるかどうかを判断する機会にすぎないとの認識を改めて示した。
梨花女子大学のレイフ・エリック・イースリー教授は「北朝鮮は自制を弱さと解釈し、韓国内の分断を利用しようとする面があり、信頼の構築を非常に難しくしている」と指摘。
韓国と米国は引き続き、北朝鮮と事務レベルの協議を模索するべきだが、北朝鮮が国連の決議に違反し、近隣諸国に脅威を与え続けた場合、新たな制裁や軍事協力の見直しの準備も必要になるとの見方を示した。
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