[バンコク 16日 ロイター] - タイのウッタマ財務相は16日、景気押し上げに向け、農業や観光業への支援を含む100億ドル規模の刺激策を実施する計画を発表した。
タイでは貿易摩擦の激化やバーツ高を背景に経済のけん引役である輸出が減少。第1・四半期国内総生産(GDP)は前年比2.8%増と、過去4年余りで最低の伸び率となった。[nL4N22X0Z0]
ウッタマ財務相は、経済・財政担当高官らによる協議後に記者団に対して、景気刺激策は3160億バーツ(約102億3000万ドル)規模になると明らかにした。刺激策について「世界経済の減速への対処と、タイ経済の目標通りの成長実現」を後押しするものと述べた。
財務相は当初、フェイブスックに刺激策は少なくとも2250億バーツと投稿していたが、その書き込みは削除された。
刺激策は来週20日に内閣に提出される予定。
同相によると、景気刺激策には農業従事者向けの融資や債務返済猶予、中小企業への融資のほか、低所得者向けの支援が含まれている。
一方、当初言及があった農産物の価格保証は、最終的には景気刺激策に盛り込まれなかった。財務相は、農産物の価格保証についてはまず、担当の委員会で検討する必要があると説明した。
また国内旅行の振興策として、1000万人に対して総額100億バーツの現金を支給し、減税措置も講じる。当初発表では、150億バーツを支給するとしていた。
同相は、これらの措置により今年下期に国内経済に少なくとも2000億バーツのキャッシュフローがもたらされるとの見通しを示した。
野村のエコノミスト、Chanon Boonnuch氏(シンガポール在勤)は景気刺激策について、干ばつや米中貿易戦争に伴う経済への下方リスクの一部を緩和する上で有効との見方を示した。
タイ政府のある高官は、記者団に対し、今年の成長率を少なくとも3%に、来年は3.5%とすることを目指すと述べた。
また、政府が予測する訪タイ外国人観光客数について、今年が3980万人、来年は4180万人と述べた。
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