[ロンドン 16日 ロイター] - 石油輸出国機構(OPEC)は16日に公表した月報で、年内の原油需要の伸びの見通しを下方修正すると同時に、来年の原油市場は若干の供給過多になるとの見方を示した。非加盟国との協調減産を継続する論拠となる可能性がある。
OPECは、2019年の世界的な原油需要の伸びが日量110万バレルになるとし、従来見通しから日量4万バレル下方修正した。
見通しの下方修正は、米中貿易戦争のほか、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明性で世界経済に減速の恐れがあることが背景。OPEC加盟国とロシアを中心とした非加盟国(OPECプラス)が年初から実施している協調減産を維持する論拠となる可能性がある。
OPECは月報で「経済成長の鈍化や世界的な貿易を巡る問題のほか、原油需要の減速などを踏まえると、市場ファンダメンタルズ(基礎的条件)の見通しは年内は幾分軟調になるとみられる。需給バランスを緊密に注視し、市場の安定性を支援することが引き続き重要となる」とした。
OPECが月報で弱気な見通しを表明するのはまれなことから、北海ブレント先物 (LCOc1)は月報の公表を受け上げ幅を縮小。1バレル=59ドルを下回る水準で推移している。
OPECプラスは今年1月1日から日量120万バレルの協調減産を実施。7月の会合で協調減産を来年3月まで延長することを決定した。ただ協調減産にもかかわらず、原油価格は今年4月に付けた75ドルを超える高値から下落。通商問題のほか、景気減速懸念が重しとなっている。
OPECは20年の原油需要の伸びは日量114万バレルになるとし、従来見通しを据え置いた。19年からは若干の加速となる。
ただ20年の経済成長見通しには下向きリスクがあると警告。「向こう数週間にわたり特に通商に関連する動向を緊密に注視するする必要があり、9月に一段の下方修正が実施される可能性がある」とした。
世界的な経済成長率見通しについては、3.2%から3.1%に下方修正。20年の見通しは3.2%を維持した。
OPECは月報で、先進国の原油在庫が6月は5年平均を6700万バレル上回ったことも報告。供給過多に陥る可能性があることも示唆された。
OPEC加盟14カ国の7月の産油量は日量2961万バレルと、前月から日量24万6000バレル減少。サウジアラビアが一段の減産を行ったことが主な押し下げ要因となった。
OPEC産原油に対する需要は20年は平均で日量2941万バレルになると予想。19年見通しからは日量130万バレル減。ただ、OPECが前月に示した見通しからは日量14万バレルの上方修正となる。
OPECが7月の産油水準を維持した場合、その他の条件が一定と仮定すれば、20年は日量20万バレルの供給過多が発生する計算になる。ただ、前月の月報で示唆された供給過多の幅は日量50万バレルを超えていた。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20190816T143923+0000