[北京 30日 ロイター] - 中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の香港地区代表で香港特区基本法委員会の譚恵珠(マリア・タム)副主任は29日夜、香港は緊急条例を発動したり中国軍に介入を要請したりする状況には程遠いとの見解を明らかにした。
北京でロイターのインタビューに応えた。
「現時点でなお多くの手段がある」と述べ、警察や公的秩序に関する政令には事態収拾のために使えるさまざまな項目があると指摘した。行政長官に強大な権限を与える「緊急状況規則条例」の発動が必要な段階には「かなり距離がある」との認識を示した。
ただ「いずれの措置も機能しなかった場合、行政長官が(緊急条例の)発動を検討せざるを得なくなる可能性がある」とくぎを刺した。
タム氏は自然災害や極度の無秩序状態などが発生した場合、香港政府は基本法14条に基づいて中国軍に出動を求めることができると述べ、国務院(内閣に相当)を通じて、香港を管轄する広州の軍司令部に要請することになると説明した。その上で「そうした状況には程遠い」と言明した。
中国の中央政府はこれまで林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官への支持を繰り返し表明している。タム氏は習近平国家主席とは面会していないが、複数の中央政府高官がラム氏支持を明言したと述べた。
また「ラム氏は職務を続け、間違ったことを正す必要がある」と強調した。同氏が辞任する可能性については「そうなるとは思わない」と述べた。