[ベルリン 1日 ロイター] - ドイツ東部ザクセン州とブランデンブルク州で1日に実施された州議会選挙は、極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が躍進したものの、メルケル首相率いる保守のキリスト教民主同盟(CDU)と中道左派の社会民主党(SPD)は各州で第1党の座を守り、国政での連立の危機をひとまず回避した。
暫定開票結果によると、ザクセン州ではCDUが第1党にとどまったが、得票率は32%と、前回2014年の選挙から7.4ポイント低下した。難民政策や東部州の炭鉱閉鎖計画への批判票を取り込んだAfDは第2党に躍進した。
ブランデンブルク州では、1990年の東西ドイツ統一以降同州で与党の座を維持してきたSPDが得票率27.2%と、AfDの22.8%を上回った。
CDUとSPDの支持後退は予想より小幅にとどまり、メルケル首相率いる連立政権を巡る懸念は若干和らいだ。
コンサルティング会社テネオのマネジングディレクター、カーステン・ニッケル氏は州選挙の結果について、「現状で選挙を実施してもCDUやSPDに有利に働く可能性が低いことをあらためて示す結果であり、少なくとも当面はメルケル首相の支持安定につながる可能性がある」と指摘した。
連立政権の安定はSPDの動きに大きく左右される。SPDは5月の欧州議会選で大敗し、世論調査で支持率が過去最低水準の近辺にとどまっているほか、党首も定まっていない。一般党員の多くはメルケル氏の保守陣営との連立解消を求めている。
SPDの暫定リーダーの1人であるトルステン・シェーファーギュンベル氏はZDFテレビで、連立政権は建設的に取り組んでいると強調し、「(保守陣営との間に)実質的な相違があるのは間違いないが、連立が続行するのは明らかだ」と述べた。
10月には東部テューリンゲン州議会選も控え、2021年に予定される次期総選挙まで連立が存続するためには今後数カ月が重要となる。
ドイツ経済が景気後退に陥るリスクが高まる中、CDUとSPDの間では財政政策の方向性を巡っても溝が生じている。SPDが歳出拡大を主張する一方、メルケル氏の保守陣営は財政均衡の原則を堅持する姿勢を崩していない。