[11日 ロイター] - チリ中央銀行のマルセル総裁は11日、ロイターのインタビューで、中銀が6カ月以内に今年3回目となる利下げに向かう可能性はあるが、マイナス金利や量的金融緩和といった極端な政策の導入への道は引き続き遠いと強調した。
世界最大の産銅国のチリは米中通商紛争の影響を受けている上、過去60年で最悪の干ばつに見舞われている。政府は財政刺激策の可能性を模索。中銀も6月と9月に利下げを実施し、政策金利は9年ぶりの低水準である2%となっている。
総裁は「特に心配なのは米中通商紛争、それから英国の欧州連合(EU)離脱といった世界的な緊張が通商、金融市場、事業見通しに及ぼす影響だ」と述べた。「チリ中銀は、消費や投資といった需要が想定よりも鈍ければ、ある程度の追加金融緩和措置を準備するだろう」とした。
中銀は今後、コアインフレのデータ、とりわけ景気の動きを敏感に映すサービスのインフレを注視する。
中銀の年内の政策決定会合のスケジュールは次回が10月末、その次が12月10日でこれが年内最後となっており、12月の会合では経済見通しを盛り込んだ四半期ごとの金融政策報告を公表する。
総裁は次回の政策決定について、必ずしも新しい経済見通しのタイミングということではなく、経済指標で短期見通しがどれだけ裏打ちされるかを重視する考えを示した。
チリ中銀は9月公表の金融政策報告で今年の成長率見通しを従来の2.75─3.5%から2.25─2.75%に引き下げている。
総裁は、9月初旬の前回会合以降、消費者物価指数や失業率など主要な経済指標は「ほぼ」予想に沿った動きを示したと指摘。「状況の悪化は見られないが、予想を上回る改善も見られない。ただ、まだ判断を下すには時期尚早で、様子を見ている」とした。
隣国アルゼンチンで通貨が急落して景気が悪化し、資本規制が導入されたことについては、チリへの影響は「あったとしても非常に小さい」と述べ、両国は通商や金融面の関係がかなり限られるとした。
欧州中央銀行(ECB)などは近々、マイナス金利の深堀りに動く見通しとなっており、トランプ米大統領も米連邦準備理事会(FRB)にマイナス金利の導入を求めた。しかしマルセル総裁はチリではこうした政策はまったく視野に入っていないと強調した。
その上で「量的金融緩和などの検討は早計だ。チリ中銀にはまだ金利に操作の余地がある」とした。