[リヤド 18日 ロイター] - サウジアラビアのジャドアーン財務相は18日、ロイターとのインタビューで、週末に起きたサウジアラムコの石油施設攻撃が歳入に与える影響はないとし、同社の新規株式公開(IPO)計画を推進する考えを示した。ただ今年の経済成長率は石油輸出国機構(OPEC)主導の減産により予想を大きく下回るとの見通しを示した。
ジャドアーン財務相はアラムコの施設に対する攻撃について、「歳入面では影響はゼロだ」とし、「アラムコは滞りなく市場に供給を続け、このため収入も問題なく継続する」と述べた。
アブドルアジズ・エネルギー相も前日、攻撃で失われた日量570万バレルの生産量が月内に復旧し、生産能力は9月末までに日量1100万バレル、11月末までに同1200万バレルに到達するという見通しを示した。
ジャドアーン財務相は、アラムコが「サウジの回復力や、同社がこうした事件に対処可能であることをはっきり示した」と強調した。
一方、ウエストベック・キャピタル・マネジメントは顧客向けノートで「国内に弱さを見せないため、サウジ指導部は攻撃の影響を小さく見せるしか選択肢はない」と指摘。アラムコIPOを計画通り進めることも平静を装うことにつながると述べた。
ジャドアーン財務相は、サウジの国内総生産(GDP)は原油に大きく依存しているためOPEC主導の協調減産による影響を受けるとし、2019年の経済成長率は「われわれの予想を大きく下回る」と述べた。
同財務相は19年の具体的な成長率見通しを示さなかったが、サウジアラビア通貨庁(中央銀行)はこれまでに2%を下回るとの見方を表明。国際通貨基金(IMF)は1.9%と、前年の2.2%から減速するとの見通しを示している。一部エコノミストの間ではマイナス成長に陥る可能性もあるとの見方も出ている。
ただジャドアーン氏は「われわれは原油以外のGDPを注視している」とし、原油を除いたGDP伸び率は今年は2.9%になるとの見通しを示した。
アラムコのIPO計画については予定通りに進捗しているとし、向こう1年以内に実現する公算が大きいと指摘。リヤドにあるサウジアラビア証券取引所(タダウル)が主要上場先になるとしたが、これに加え海外市場への上場もなお検討されていると述べた。