[ベルリン 25日 ロイター] - 独有力経済団体、ドイツ産業連盟(BDI)のディーター・ケンプ会長は25日、独国債のマイナス利回りで利払い費が抑えられる一方で投資家からの需要が非常に強いことを踏まえて、政府は新規国債を発行せずに財政収支を均衡化する方針を撤回すべきだと主張した。
メルケル独政権に対しては、財政均衡の方針を撤回した上で、リセッション(景気後退)入りが懸念されている国内経済を支援するために憲法が定める財政規律の下で新規借り入れを行うべきという声が国内外で上がっている。
ケンプ会長はベルリンで外国メディアに対し、憲法で規定されている財政規律の下で「政府は年間100億─120億ユーロの国債発行が可能だ。それを公的支出に回せる」と語った。
同氏は、景気が落ち込む中、経済を巡る状況も変わったと指摘。同時に、ドイツに対しては潜在的な投資需要が強く、独国債利回りがマイナスとなっているにもかかわらず投資家は上乗せ分を払ってでも新規国債に投資したがっていると述べた。
連立与党は前週、気候変動対策に向けた政策パッケージについて、新規国債を発行せずに実施することで合意した。ただ、環境保護団体などはさらに踏み込んだ対策が必要だとして批判している。