[ワシントン 25日 ロイター] - 米国の各情報機関の調整を担当するインテリジェンス・コミュニティーのマイケル・アトキンソン監察官は、トランプ大統領がウクライナ大統領に前副大統領を巡る疑惑調査を依頼したことについて、トランプ氏自身を「深刻な国家安全保障・防諜(ぼうちょう)上のリスク」にさらした可能性があると警告した。
25日に公表された司法省の法的意見に監察官の見解が盛り込まれた。
トランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領との7月25日の電話会談で、政敵である民主党のジョー・バイデン前副大統領の息子に絡む疑惑を調査するよう依頼していた。[nL3N26G3R7]
監察官の見解は、この電話についての内部告発者の懸念を反映している。
公表された法的意見では防諜上のリスクを詳細に説明していない。
複数の元米当局者は、電話会談の内容が公表される前にロシアのスパイが入手し、トランプ大統領に影響力を及ぼすために利用する可能性があるとの見方を示している。
2016年の米大統領選をめぐっては、ロシアがトランプ氏に有利になるように介入していたと米情報当局は非難。ロシア側はこれを否定していた。
法的意見では、匿名の内部告発者について、電話会談でのトランプ大統領の発言を複数のホワイトハウス当局者から聞いていたと指摘。会談でのトランプ氏の発言をこの内部告発者は、「来年の大統領再選を後押しするための行動をとるよう(ゼレンスキー大統領に)圧力をかけようとしている」とみなしたという。
アトキンソン監察官はトランプ氏の要請について、立候補者への外国からのいかなる支援も禁じた米選挙法に違反するとの懸念を示した。また「連邦選挙に介入もしくは影響を及ぼすために外国の支援を求めるという、米当局高官による違法行為疑惑は、この高官を深刻な国家安全保障・防諜上のリスクにさらす可能性がある」ことも懸念要因と法的意見は指摘した。同監察官はトランプ氏が任命した。
アトキンソン監察官はさらに、内部告発者について、部分的に政治的バイアスを感じさせるものの、告発内容は信用できるとみられると結論付けたという。