[ワシントン 9日 ロイター] - トルコによるシリア北東部での軍事作戦を受け、米共和党の一部議員は9日、トランプ大統領のシリア政策を厳しく非難した。リンゼー・グラム上院議員はトルコに対し「壊滅的」制裁を科すことを計画していると述べた。
トランプ大統領は今週、シリア北東部からの米軍撤収を表明。トルコは9日、シリア北東部に侵攻し、テロ組織と見なすクルド人勢力を攻撃した。[nL3N26U3O3]
グラム氏はトランプ大統領に近い存在だが、シリア北東部を巡る大統領の決定は繰り返し批判しており、民主党のクリス・バンホーレン上院議員とともに、トルコへの制裁の枠組みを明らかにした。
両議員の制裁案では、トルコのエルドアン大統領ら政府高官の資産が標的となるほか、トルコによるロシア製S400ミサイル防衛システム購入に制裁を科し、ビザ発給を制限する。トルコとの軍事関連取引なども制裁対象となる。
グラム議員は声明で「トルコのシリア攻撃に対する厳しい制裁でバンホーレン議員と超党派合意に達したことをうれしく思う」とした上で、「米政権はトルコに対して行動することを拒んでいるが、(制裁には)超党派の強い支持が集まるだろう」との見方を示した。
下院共和党からも批判の声が上がり、リズ・チェイニー議員は、トランプ氏の決定による「壊滅的な打撃を抑えるため議会は行動しなければならない」と訴えた。
一方、トランプ大統領は身内の共和党議員からの批判に反論した。
ホワイトハウスで記者団の質問に対し、トルコがクルド人勢力を人道的に扱わなければトルコへの制裁を検討する用意があると述べた。
トルコの攻撃による混乱で、クルド人勢力が拘束してきた過激派組織「イスラム国(IS)」戦闘員が逃走するのではないかとの懸念については、これらのIS戦闘員の多くは欧州から流入したため逃走先は欧州になるとし、重要視しない姿勢を示唆した。
※カテゴリーを追加しました。