[シドニー 17日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のデベル副総裁は17日、国内不動産市況の悪化が家計消費に打撃を与え、経済成長とインフレへの大きな足かせとなっていると指摘した。今年3回実施した利下げにもかかわらず、こうした状況は少なくとも今後1年は続く見込みという。
ただ、ここ数カ月の住宅価格上昇や、安定的な人口増加、過去最低水準の金利を背景に、住宅建設は2021年までには回復するとの見通しを示した。
住宅建設は雇用全体の約2%、国内総生産(GDP)の6%を占める豪経済の主要セクターだ。
デベル副総裁は、シドニーでの講演で「建設活動の鈍化はまだかなり続く」と指摘。
「われわれは今後1年間に住宅投資がさらに7%落ち込むと予想している。減少幅は、これよりも大きくなるリスクが幾分ある」とし、住宅建設のピーク期から底を打つまでにGDPの伸びを約1%ポイント押し下げるとの見方を示した。
オーストラリアの住宅価格と建設活動は約2年前にピークを打ち、住宅着工許可件数は2017年終盤の水準を約40%下回っている。
住宅市況は消費にも影響を与えている。豪中銀の試算では、住宅価格が10%下落すれば、家計消費は1.5%減少するという。
デベル副総裁は、最近の市況悪化がインフレに「予想よりも大きな」波及効果をもたらしていることにも言及した。消費者物価指数(CPI)の構成バスケットで、家賃と新規住宅購入は合わせて約6分の1を占める。