[21日 ロイター] - ムーディーズ・インベスターズ・サービスは21日公表した報告書で、エネルギーや公益などの環境負荷の高いセクターの欧米企業について、気候変動に関連する財務上のリスクの開示が進んでいないと指摘した。
ムーディーズはこのたび、建材や石油・ガス、公益関連企業28社の公的書類を分析した。気候関連の財務ディスクロージャーに関する金融安定理事会(FSB)のタスクフォースは2017年、気候変動の財務への影響について自主的に開示するよう、企業各社に勧告している。
ムーディーズのサンプル企業のうち80%が、気候変動が戦略的な決定に影響を及ぼしていると回答したにもかかわらず、気候に関する予想と、キャッシュフローやバランスシートへの影響とを関連付けている企業は28社中2社にとどまった。
ムーディーズによると、この2社は欧州の公益企業と、米国の石油・ガス会社だが、具体名は明らかにされていない。ムーディーズが今回、分析の対象とした企業は、債務総額が8770億ドルで、エクソン・モービル (N:XOM)、ロイヤル・ダッチ・シェル (L:RDSa)、デューク・エナジー (N:DUK)、フランス電力EDF (PA:EDF)などが含まれる。
報告書の執筆者の1人、Vincent Allilaire氏は「開示のレベルにおいては一定の前進があったが、気候リスクに伴う財務上の影響に関する標準化された、一貫性のある定量化については、依然として初期的な段階にある」と指摘した。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20191022T065941+0000