[ワシントン 25日 ロイター] - 米中両国の閣僚は25日、貿易問題を巡り電話協議を開く。事情に詳しい複数の関係筋によると、中国による米農産品の購入拡大が話し合われる見通しで、中国側はその見返りとして米国に対中関税の一部を取り消すよう求める見込み。
ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン米財務長官、中国の劉鶴副首相が協議に臨む。
双方はトランプ米大統領が今月11日に発表した中国との「第1段階の合意」について、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて両首脳が署名できるよう、文書での合意を目指している。
これまでのところ、中国による米農産品の購入や金融サービス市場の開放拡大、知的財産権保護の強化のほか、為替問題で合意がまとまったこと受け、米側は今月15日に予定していた対中制裁関税引き上げを見送った。
ただ米国内の関係筋2人によると、合意文書への署名に向け、中国側は米政府に対し、12月15日に予定されている1560億ドル分の中国製品への関税発動計画を取り下げるよう求めるとみられる。
さらに、関係筋の1人によると、9月1日に発動された1250億ドル分の中国製品に対する15%の関税も解除するよう求める公算が大きい。「中国側は、関税対象を当初の2500億ドル分まで戻したい考えだ」という。
中国国内の関係筋によると、合意書が結ばれれば、中国は大豆や小麦、トウモロコシを含む米農産品の一部を関税の適用除外とする見通し。ただ、中国の米農産品購入額が最終的にどこまで引き上げられるかは不明なままだ。
トランプ大統領は中国が米農産品の年間購入額を400億─500億ドルに増やすべきと主張してきた。米農業連合会のデータによると、中国の2017年の購入額は195億ドルだった。
電話協議について事前説明を受けた関係筋の1人によると、中国側は貿易戦争が勃発する前とほぼ同水準の200億ドルの購入額を当初は提案するとみられるが、次第に引き上げる可能性がある。市場の状況や価格設定にも左右されるとみられる。
一方、データの持ち出し規制やサイバーセキュリティー規制、産業補助金といった難しい問題は次の段階に残す見通し。ただ、一部の中国専門家は、第1段階の合意が最終決着すれば、来年は大統領選ということもあり、中国がさらに交渉を進める動機が薄れる可能性があると指摘する。
2人の関係筋は、ムニューシン、ライトハイザー両氏が11月3日の週に北京を訪問し、合意文書を最終決定するために協議を行う公算が大きいと明らかにした。ただ、米財務省の報道官は、そのような協議は計画されていないと述べた。