[フランクフルト 29日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるワイトマン独連銀総裁は29日、ECBが気候変動問題への取り組みで明確な役割を担うのは政策運営上、負担が重すぎるとし、ECBの独立性や中立性を脅かすと指摘した。
異常気象による金融リスクを論じる政策担当者が増えるなか、ラガルド次期ECB総裁は最近、中銀や規制当局は気候変動の緩和への貢献について考えることを優先課題にすべきと主張した。
ワイトマン氏は会合で、気候変動リスクは十分資産価格に織り込まれておらず、大半の銀行はそのリスクを考慮していないが、政治的目標を達成するのに銀行規制や金融政策を利用するのは誤りだと指摘。
「環境目標を明確に追求する金融政策は過度な負担というリスクをはらむ。長期的には(中銀の)独立性が疑問視される可能性がある」と述べた。
一部ECBウォッチャーが主張する、ECBによる不相応な規模のグリーンボンド(環境債)購入は、市場の中立性の原則に違反すると指摘した。
環境目標達成のため金融資産のヘアカットへのリスク掛け目などの銀行規制を活用することについては、規制は実際のリスクに即したものであるべきとし、「環境保護のインセンティブは政治の世界で取り組む問題だ」と述べた。
ワイトマン氏は、3分の2の銀行がリスク管理において気候変動リスクを考慮しておらず、気候変動に伴うコストを市場が完全に織り込んでいないことを認めた。
また、異常気象が成長やインフレの不安定な動きにつながり、金融政策運営をさらに難しくする可能性があると述べた。