[ワシントン 20日 ロイター] - 米民主党のブライアン・シャーツ上院議員(ハワイ州)は20日、大手銀行を対象に気候変動リスクを巡るストレステスト(健全性審査)を実施することを連邦準備理事会(FRB)に義務づける法案を提出した。
法案の名称は「気候変動金融リスク法(2019年)」。
各国の政策当局の間では、洪水や山火事など深刻な天災が頻繁に発生すれば、生産性・資産価値・経済全体に悪影響が及ぶ恐れがあるとの懸念が広がっており、同議員によると、英国やオランダでは、気候変動に伴うシステミックリスクを定量化する動きが始まっている。
シャーツ議員は「連邦規制当局は、金融システムのリスク管理・抑制を法律で義務づけられているが、気候変動に伴う金融リスクの高まりは無視されている」とし「この法案が成立すれば、FRBが気候変動リスクを深刻に考慮するようになる」と説明した。
FRBは現在、失業急増など景気悪化シナリオを想定したストレステストを銀行に実施しているが、「世界の平均気温が1─2度上昇する」といった具体的な気候変動リスクを想定したストレステストは行っていない。
同議員は、FRBが気候変動問題に詳しい科学者や経済学者で構成する諮問委員会を設置し、ストレステストのシナリオを作成することを提案している。
今回の法案には、来年の大統領選への出馬を表明しているウォーレン、クロブシャー、ハリス各上院議員など民主党上院議員9人が支持を表明しているが、法案の成立には上院で過半数を占める共和党議員の支持が必要になる。
FRBのブレイナード理事は今月、サンフランシスコ連銀が主催した初の気候変動と経済に関する会合で、気候変動は「深刻」なリスクであり、金融安定の評価や政策決定に影響する可能性があると指摘。[nL3N27O43U]
商品先物取引委員会(CFTC)のロスティン・ベナム委員も、気候変動は大きな市場リスクをもたらすとし、政府に早急な対策を求めた。[nL4N23K0AI]