[ワシントン 26日 ロイター] - 米連邦地裁が25日、元ホワイトハウス法律顧問のドン・マクガーン氏に対し、議会下院が進めるトランプ大統領の弾劾調査での証言を命じる判決を下したことを受け、司法省は26日、判決の執行停止を申し立てた。
米ワシントン連邦地裁のケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事は25日、現職および過去のホワイトハウス当局者は議会での証言を免除されるとしたトランプ政権の主張を退け、マクガーン氏に証言を命じた。
司法省は26日、政権側が高裁に控訴する間、判決の執行を停止するよう同判事に求めた。
下院民主党指導部は、ウクライナ疑惑を中心にトランプ大統領の弾劾調査を進めているが、正式に弾劾訴追する場合、範囲を広げて議会妨害を含める可能性も議論している。マクガーン氏の証言は議会妨害に関する調査を支援する可能性がある。
マクガーン氏は今年5月、ロシア疑惑を巡るモラー特別検察官の捜査をトランプ大統領が妨害した疑いについて証言を求めた下院司法委員会の召喚状を拒否。同委員会は8月、召喚状の執行を求めて連邦地裁に提訴していた。[nL4N2535LH]
下院はその後、トランプ大統領が軍事支援の見返りに政敵である民主党のバイデン前副大統領に関する調査をウクライナに要求した疑いを中心に、9月に弾劾調査を開始した。
司法委の弁護士は前週裁判所に提出した文書で、モラー氏の捜査結果を巡る同委員会の調査は10月の下院決議で示された弾劾調査の範囲に含まれているため、マクガーン氏の証言は「これまで以上に緊急に」求められると主張した。
また「弾劾調査の一環として、司法委はモラー報告書に記された不正行為を引き続き調べており、マクガーン氏が関与した件も対象に含まれる」とした。
マクガーン氏は連邦捜査官らに対し、モラー氏を解任するようトランプ氏から繰り返し要求され、そう指示されたことを否定するよう求められたと述べている。
司法省は26日の申し立ての中で、下院司法委がマクガーン氏への召喚状の執行を7日間延期することに同意したと説明した。その上で、判事が直ちに延期を適用しない場合、27日に連邦控訴裁(高裁)に緊急の申し立てを行う考えを示した。
司法省はさらに、大統領の幹部側近に議会での証言を命じる判決は米国史上2件目だとし、三権分立に関わる重要な問題を提起するものだと指摘した。
ジョン・ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の弁護士は25日の判決について、ボルトン氏や同氏の側近だったチャールズ・カッパーマン前副補佐官による証言にはつながらないと述べた。
ボルトン氏は、議会の召喚状への対応を巡りカッパーマン氏が起こした別の訴訟に加わっている。