[東京/ソウル 29日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は29日、同国が超大型多連装ロケット砲の発射実験に成功したと伝えた。実験には金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が立ち会い、「大いに満足」と表明したという。
KCNAはまた、今回の発射について、戦闘への応用を最終的に検証するのが目的で「軍事的かつ技術的優位性と確固たる信頼性」が明らかになったとしている。
KCNAは、金氏が直近の試射を視察したと伝えた。金氏は8月と9月の実験を視察したとされているが、10月31日の実験には立ち会っていない。
北朝鮮は、米国との非核化協議の期限を一方的に年末としている。ただ、10月にスウェーデンの首都ストックホルムで行った実務者レベルの協議が決裂して以降、協議は停滞している。
米国のビーガン北朝鮮担当特別代表は前週、北朝鮮が設定している期限は人為的なものだが、北朝鮮が「挑発的な」措置を取る状態に後戻りする恐れもあると指摘。こうしたことが起きれば「大きな誤りとなる」とし、「北朝鮮は機会を失うことになる」と述べた。
海上保安庁は28日夕、北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられると発表した。ミサイルは日本海の排他的経済水域(EEZ)外に落下したものとみられる、という。防衛省は、北朝鮮から弾道ミサイルとみられるものが発射されたと発表。聯合ニュースは、北朝鮮東岸から2発の飛翔体が発射されたと伝えた。
安倍晋三首相は国家安全保障会議を開催したことを明らかにし、ミサイル発射は「わが国のみならず国際社会に対する深刻な挑戦」と指摘。引き続き、米国や韓国などと連携しながら警戒監視等に全力を挙げる考えを示した。
トランプ米政権高官は28日、北朝鮮による発射について認識しているとし「事態を注視しており、この地域の同盟国と緊密に連携している」と述べた。
アナリストの間では、北朝鮮は米国の感謝祭の祝日に合わせて発射を行い、兵器開発の進展をアピールしたとの見方が出ている。韓国の梨花女子大学の国際問題専門家、Leif-Eric Easley氏は「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が年末に設定した(米国との交渉)期限が迫る中、今回の発射は米韓に対する圧力を高める典型的なパターンに当てはまる」と述べた。
米国務省の当局者は「米国は北朝鮮に対し、挑発を避け、国連安保理決議に基づく義務を順守し、持続的かつ実質的な交渉によって完全な非核化達成に向けた役割を果たすよう求める」と述べた。
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