[ロンドン 28日 ロイター] - 英有力シンクタンク・財政研究所(IFS)は28日公表の報告書で、ジョンソン首相率いる与党・保守党と最大野党の労働党が来月12日の総選挙に向けて打ち出している税制および歳出計画は、有権者にとって信用に足るものではないと指摘した。
報告書は、ジョンソン氏の歳出計画はあまりにも小規模なため、公共サービスの資金不足を緩和できない見込みで、将来的な増税あるいは政府による借り入れ拡大の可能性を強めていると分析。
一方、労働党は平時の歴代政権を上回る増税と歳出拡大を打ち出しているが、あまりにも規模が大きいため、改選後の議会の5年間の任期中には恐らく実現できないだろうと論じた。「双方とも信用に足る計画ではない」としている。
保守党と労働党は、ともに財政緊縮策を近く終わらせると公約している。ただ、IFSは、保守党の計画では2024年のインフレ調整後の医療制度を除く公的支出は、財政改革が始まった2010年比で14%減になると指摘した。
労働党の増税計画については、同党が主張する上位5%の高所得層よりも対象が広くなると予想。同党の大規模な財政出動計画を賄うために、さらなる増税が恐らく必要になるとも述べた。
英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感に加えて両党の財政計画に不確実性があるため、英国の公的財政について詳細な予想を立てるのは難しいとした。
公的債務は保守党政権では恐らく横ばいにとどまる見込みだが、合意なきEU離脱による経済的なショックが起きた場合、財政赤字は国内総生産(GDP)比で現在の2倍超に当たる4%に押し上げられると予想。労働党政権下では財政赤字が、2024年までにGDP比約3.5%に上昇するとの見通しを示した。