[マドリード 1日 ロイター] - 国連のグテレス事務総長は1日、イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁が来年から気候変動問題および気候ファイナンス担当の特使に就任すると発表した。2日からスペイン・マドリードで始まる第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)を前に記者会見した。
気候変動問題特使はマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が務めていたが、米大統領選への出馬を控えて11月に辞任した。カーニー氏は、英国の欧州連合(EU)離脱予定日である来年1月31日にイングランド銀行総裁を退任する見通し。
カーニー氏は2018年に総裁を退任する予定だったが、EU離脱まで英経済を見守るため、任期を延長した。後任は未指名で、同氏は必要に応じて1月31日以降まで任期を延長する可能性も示唆している。
カナダ出身でゴールドマン・サックス勤務やカナダ中銀総裁の経歴も持つカーニー氏は、気候変動が金融に及ぼすリスクに15年から言及し始め、以来、気候変動を巡るリスク管理、監督体制、情報開示を整える必要性を訴えてきた。
イングランド銀行は、来年11月にグラスゴーで開催予定のCOP26に向け、金融関連の報告書、リスク管理、リターン計算において気候変動を中心課題と位置付けるのがカーニー氏の方針だと説明。同氏は声明で、「気候変動リスクの情報開示を包括的なものとし、そのリスク管理を改革し、ネットゼロ世界への投資を主流にする必要がある」と述べた。
50年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を吸収量で完全に相殺するネットゼロ目標には、現在約70カ国が参加している。