[国連 16日 ロイター] - 中国とロシアは16日、北朝鮮に対する制裁の一部を解除する決議案を国連安全保障理事会に提出した。ロイターが決議案の草案を入手した。
草案には、水産物や繊維製品などの禁輸措置解除や、海外で働く北朝鮮国籍の人々を次週までに送還させる2017年の規定を無効にすることなどが盛り込まれており、北朝鮮市民の生活を向上させるための制裁解除だと説明している。
決議案が安保理で採決にかけられるかは現時点で不明。可決されるには9カ国以上が賛成し、かつ、常任理事国(米国、フランス、英国、ロシア、中国)が拒否権を行使しないことが必要となる。
ロシアのネベンジア国連大使は、ロイターに対し「事を急いでいるわけではない」と述べ、17日以降に安保理理事国と協議する考えを示した。
また、中ロが解除を提案している制裁は、北朝鮮の核プログラムと直接関係がないとし、人道上の問題だと説明した。
一方、米国務省当局者は「北朝鮮は挑発を拡大させると脅し、非核化協議を拒むと同時に、禁止されている大量破壊兵器と弾道ミサイルの計画を継続している」と指摘。制裁解除を検討すべき時ではないとの見解を示した。
米英仏は、北朝鮮が核・弾道ミサイル計画を放棄しない限り、制裁を解除すべきではないとの立場を示してきた。一方、ロシアと中国は、北朝鮮が2018年に非核化を進めると表明したことへの見返りを与えるべきだと主張している。
ドイツのホイスゲン国連大使は16日、「北朝鮮に関してはこれまでと同様に、安保理の結束を保つことが重要だ」と指摘した。
米国務省当局者は、外交を通じた進展について、トランプ大統領は引き続きコミットしていると述べた。
ネベンジア大使は決議案の草案について、米朝間の対話を促すことが目的だと強調した。
草案では、米国と北朝鮮の新たな関係を構築し、両国間の信頼を確立し、段階的かつ同調的な方法で朝鮮半島の永続的な和平を築くための取り組みにおいて、全てのレベルの両国間対話の継続を歓迎するとしている。
また、6カ国協議の再開または類似の「多国間協議」の開始により、「対話を通じた平和的かつ包括的な解決」を目指すべきだとしている。
*内容を追加しました。