[東京 20日 ロイター] - 第201回通常国会が20日開会した。審議予定の法案数は現時点で52本と過去最低水準に絞り込まれている。財政の持続性確保のための全世代型社会保障改革が目玉だが、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」、河井案里参院議員の公職選挙法違反疑惑やIR疑惑と、野党側の追及材料には事欠かない状態だ。直後に東京都議選や東京五輪・パラリンピックを控えており、6月17日までの会期の延長は難しいとみられている。
通常国会冒頭では、法案審議に先立ち2019年度補正予算案と20年度予算案が提出される。衆参両院の各党代表質問を経て、1月最終週に補正予算案の予算委員会審議に入る予定だ。
政府が提出する法案は中小企業のパート労働者の厚生年金加入を義務付けるなどの国民年金法などの改正案、70歳まで就業できる雇用安定法などの改正案、巨大ネット通販企業に取引条件の開示を求めるデジタル・プラットフォーマー取引透明化法案など。法案数が過去最少となるのは7月5日投開票の東京都知事選や7月24日からの東京五輪・パラリンピックを控えているため。
また昨年の臨時国会まで5国会連続で継続審議となっている憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案の成否も注目される。
今国会は野党側の追及材料も多い。河井克行前法相の妻案里氏の陣営が昨年7月の参院選広島選挙区で、法定上限の2倍の報酬を車上運動員に渡したとされる疑惑で、広島地検が案里氏の公設秘書から任意で事情聴取しており、野党側は首相の任命責任を追及する見通し。同じく公職選挙法違反の疑いで経済産業相を辞任した菅原一秀衆院議員も、自らの疑惑についてきちんとした説明をしていない。
カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐる事件では、東京地検特捜部が14日に秋元司衆院議員を再逮捕。中国企業500ドットコムの政界工作に対する捜査動向が国会で材料視される公算が大きい。
桜を見る会問題では、招待者名簿の取り扱いで公文書管理法違反があったことを認めた菅義偉官房長官について、野党は合同で辞任を求める意向だ。
問題山積のなか、一部永田町関係者で取りざたされるのが早期の衆院解散だ。二階俊博幹事長は「直ちに解散をしなければいけない必然の課題があれば別だが、そうでなければ、わざわざ五輪の前に大騒ぎをする必要はないのではないか」などと発言しており、五輪開催前の解散は難しいというのが与党内の主流意見だ。
もっとも、すでに現職議員が逮捕される事態となっており、野党側の追及次第で「首相が破れかぶれ解散に踏み切ることがないとは言えない」(与党幹部)との見方もくすぶる。
現在の衆院議員の任期は2021年10月。
今後の主な政治日程
2020年
1月20日 通常国会召集
3月 8日 自民党党大会
4月19日 立皇嗣の令
春 中国の習近平国家主席が国賓として来日
6月17日 通常国会会期末
7月 5日 東京都知事選挙
7月24日 東京オリンピック開幕(8月9日まで)
8月24日 安倍晋三首相が連続在職日数で歴代単独1位
8月25日 東京パラリンピック開幕(9月6日まで)
11月 米大統領選挙
2021年
9月30日 安倍首相の自民党総裁の任期満了
10月21日 衆議院議員の任期満了
(竹本能文 編集:石田仁志)