[ベルファスト/ダブリン 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)のバルニエ首席交渉官は27日、EU離脱後の英国との通商交渉について、EU側が単一市場のルールについて譲歩し、その完全性を損ねることは「決してない」と強調した。
英国の一部の政治家は、通商交渉でEU側が英国との貿易が滞らないよう、域内ルールに柔軟性を持たせる可能性があると指摘してきた。
しかし、英領北アイルランドのクィーンズ大学ベルファストで講演したバルニエ氏は、「単一市場について譲歩はしない。決してない」と言明。単一市場はEUの国際的な影響力の基礎になっていると説明した。
「単一市場と関税同盟からの離脱は結果を伴う。私が昨年見た限りでは、予想される結果の多くが英国では軽視されていた」と指摘。「現実に直面する時が来た」と続けた。
バルニエ氏はまた、通商交渉でEU側は柔軟で現実的な対応をとる用意があるが、英国の選択がEUとの摩擦のない貿易を不可能にしたと語った。
バルニエ氏は先に、アイルランドのバラッカー首相との共同記者会見で、英国との通商交渉について、移行期間が終了する2020年末までの時間が短いこを踏まえると、結局年末に「合意のなき離脱」の崖っぷちに立つリスクがあるとの見解を示した。
「年末には英国がEUの単一市場から離脱するため、これは通常の交渉ではない。それが英国の選択だ。英国は関税同盟から離脱する」と語った。
さらに「もし合意がなければ、平常通りの業務を続けるわけにも、現状維持というわけにもいかなくなる。とりわけ貿易に関しては崖っぷちに立つリスクがある」と警告した。
バラッカー首相は英BBCに対し、通商交渉ではEUが優位に立つとの見方を表明。人口が多く、市場の規模が大きいため、交渉団が英国よりも強力だからだと説明した。
ジョンソン英首相が目指す2020年末までの合意は「難しいだろう」とも述べた。