[ベルリン 29日 ロイター] - ドイツのマース外相は29日、英国が欧州連合(EU)の単一市場への自由なアクセスを維持したければ、消費者の権利や環境保護などの問題で妥協しなければならないとの見解を示した。
マース外相は週刊紙ツァイトに寄稿し、英国が今月末にEUを離脱した後の移行期間に言及し、「年末までに英・EU関係の形を明確にしなければならない」と指摘。「極めて率直に言わせてもらおう。われわれは皆、関税や貿易障壁をゼロにしたい。しかし、それはダンピング(不当廉売)や不公正な競争もゼロということを意味する。労働者や消費者、環境を守るための類似した基準がなければ、世界最大の単一市場への完全なアクセスはあり得ない」と言明した。
したがって英国とEUは、「EUに害を及ぼさない」方法で離脱後の経済関係について交渉しなければならないとした。
安全保障・防衛政策については、例えば「欧州安全保障評議会」といったような組織を創設するなど、英国とEUは新たな協力の形を構築する必要があるとの見解を示した。こうした組織があれば、欧州の安全保障の戦略的課題について共通の立場を摺り合わせ、国際的な危機に迅速に対応するのに役立つと指摘。この構想をできるだけ早く具体化すべくフランスと協力していることを明らかにした。
さらに、「ブリュッセルのテーブルにも、われわれの心にも、英国の場所は常にある」と述べ、英国が戻るつもりになればEUの扉は常に開かれていると示唆した。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20200129T092936+0000