[シドニー 19日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は19日、今月2回目となる利下げに加え、初の量的緩和(QE)措置を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃を緩和するため、各国中銀との協調行動に踏み切った。
中銀はオフィシャルキャッシュレートを0.50%から25ベーシスポイント(bp)引き下げ、過去最低の0.25%とした。そのうえで、雇用とインフレに関する中銀の目標を達成するまで金融引き締めを行わないと表明した。
中銀はまた、3年物国債利回りの目標を0.25%付近に設定。20日に流通市場で国債買い入れを開始すると発表した。
中銀は声明で「雇用や所得、企業の支援がRBAの最優先事項だ。この危機が去った後には、オーストラリアは力強い回復に向けかなり良い状態になる」とした。
さらに、中小企業支援に向け、銀行システムへの資金供給ファシリティーを導入。期間は3年、金利は固定で0.25%とする。金融機関は既存融資残高の3%まで同制度を利用することが可能となる。
「金融機関は、特に中小企業向け融資残高を拡大すれば拡大するほど、追加でこの制度が利用できる」(中銀)という。ファシリティーの規模は少なくとも900億豪ドル。
中銀は「今回の措置は相互に作用し合い、経済全般にわたって資金調達コストの引き下げと信用供与の支援に寄与する見通しだ」とした。
中銀の発表を受け、3年物国債利回り (AU3YT=RR)は0.589%から0.34%に急低下。ただ、それでも中銀の目標水準は上回っている。
中銀のロウ総裁は演説で「われわれは明らかに、異常で厳しい時代を生きている」と述べ、事態が「あまりにも流動的なため」中銀は最新の経済予想を示すことができないとした。
また「かなりの雇用が失われると予想している。雇用喪失の規模は、この困難な時期に企業が雇用を維持する能力に左右される」と語った。
一方、中銀の発表は豪ドル
アナリストらは、今回の中銀の措置の効果に確信を持てずにいる。
フィデリティ・インターナショナルのアナリストは「新型ウイルス危機の規模や期間にもよるが、豪経済が現状から持ち直すのがいつかを予想するのは時期尚早だ」と指摘した。ただ、豪を含め各国の政府・中銀はかつてないほどの刺激策を導入しているため、経済の早期回復に向けた追い風は確実に吹いている、とした。
また別の声明文によると、豪政府は、今後12カ月にわたって150億豪ドル相当の住宅担保ローン証券(RMBS)などを購入する計画。