[シドニー 21日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)のロウ総裁は21日、2020年前半に豪経済が10%前後のマイナス成長となる公算が大きく、落ち込みのほとんどは新型コロナウイルスの感染拡大による影響で4─6月期に起きるとの見通しを示した。RBAのウェブサイトで生放送されたスピーチで語った。
総裁は、こうしたマイナス成長は「世紀に1度の事態だ」と指摘。
失業率は6月までに10%前後に上昇する可能性が高いと述べた。3月の失業率は5.2%だった。合計労働時間は約20%減少する可能性が高いという。
ロウ総裁は「この数字は、数カ月前まで考えられなかったほど高い。新型ウイルス封じ込めにあたって社会が計り知れない困難に直面していることを示している」とした。
総裁は質疑応答で、政策金利が現行水準で何年間も維持される公算が大きいと発言。
「インフレ率が2-3%で持続可能になると自信を持てるまで、政策金利は引き上げない」とし「現在の金利環境が何年も続く可能性が非常に高い。これは3年債利回り (AU3YT=RR)を25ベーシスポイント(bp)にするという目標で強化されるだろう」と述べた。
オーストラリア連邦統計局が21日公表した統計によると、3月14日から4月4日までの3週間に国内の就業者数が6%減少した。同期間に78万人が職を失った可能性があることを示している。[nL4N2C90YT]
ロウ総裁は、移動制限など一連の措置が緩和されれば、その後の3-4カ月で景気回復が始まる可能性があると期待していると発言。
その上で、「景気回復の時期がいつであろうと、回復局面になってもすぐに普段の状況に戻れると考えるべきではない」とし、「我々が現在経験している公衆衛生および経済の緊急事態は、豪経済にしばらくの間影を落とすだろう」と述べた。
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