[クアラルンプール 13日 ロイター] - マレーシア中央銀行が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は前年比0.7%増と、伸び率は前期から大幅に鈍化した。新型コロナウイルス感染拡大による影響で輸出や内需が打撃を受けた。ただ、市場予想は上回った。
ロイターがまとめた市場予想は前年比1.5%減、2019年第4・四半期は3.6%増だった。
中銀は、新型コロナの感染拡大を抑制するため多くの国で導入されたロックダウン措置により、マレーシアをはじめ、主要経済や域内経済が全般的に打撃を受けていると指摘した。
中銀のノル・シャムシアー総裁はオンラインの記者会見で「進行中のパンデミック(世界的な大流行)は前例のない経済危機を引き起こしている」と指摘。先行きが不透明だとして、2020年通年の成長見通しを示すことが不可能だと述べた。
中銀は発表文で、第2・四半期のマイナス成長を見込む一方、経済活動が下半期に徐々に改善するとの見通しを示した。4月時点では今年について、最大2%のマイナス成長か0.5%の小幅プラス成長になるとしていた。
第1・四半期は民間消費が前年比6.7%増加し、経済を下支えしたが、中銀によると、新型コロナの流行が労働市場に多大な影響を及ぼす見通しで、今後、民間消費が打撃を受ける可能性がある。
統計局によると、厳格な社会規制を背景に第1・四半期の失業率は3.5%と、前四半期の3.2%から悪化した。
新型コロナに関連した移動規制などが導入された3月の輸出は4.7%減。前月の11.8%増から急激に落ち込んだ。
3月の鉱工業生産指数も前年比4.9%低下し、約10年ぶりの大幅な低下幅を記録した。
バンク・イスラムのチーフエコノミストは、外需低迷の影響を緩和するためには、大規模なインフラ投資と経済活動の再開が必要だと指摘。ただ感染の第2波を警戒する必要があるため、難しいかじ取りを迫られるとの見方を示した。
中銀は今年100ベーシスポイント(bp)の利下げを実施、政策金利を過去最低の2%に引き下げている。
中銀のノル・シャムシアー総裁は、利下げにより家計・企業の債務負担が減り、下半期の景気拡大に寄与すると発言。年内に追加利下げを実施するかどうかは経済・金融情勢に左右されるとの認識を示した。
中銀は原油価格の急落を背景に、今年の総合インフレ率が平均でマイナスになると予想。3月の消費者物価指数(CPI)上昇率はマイナス0.2%と、約1年ぶりにマイナスとなった。
*内容を追加しました。
(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)