[ワシントン 13日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は13日、新型コロナウイルスの流行を受けた消費の急減などを踏まえると、IMFは4月に公表した世界経済見通しを下方修正する可能性が高いとの見方を示した。
ゴピナート氏はフィナンシャル・タイムズ(FT)主催の会合で、4月以降に収集したデータにより、今年の世界経済成長率をマイナス3%としたIMFの予測が裏付けられつつあるとした上で、さらに悪化する可能性が示されているとも指摘。
「見通しはむしろ悪化の様相を示している」とし、消費の急減を踏まえれば下方修正につながる可能性が高いと述べた。
IMFは4月の時点で、成長率見通しは不確実性が非常に高いとし、危機が長期化、深刻化すれば成長率は今年マイナス6%、来年はゼロとなる可能性があるとしていた。
ゴピナート氏は「影響を受けていない国はなく、経済統計は歴史的な低水準になっている」と述べ、特に発展途上国や新興国にリスクがあると指摘した。
一方、世界各国でロックダウン(都市封鎖)の緩和が始まる中、検査や接触者追跡、隔離の体制が十分であれば、回復の可能性もあると指摘。外需の低迷が続く一方で内需の持ち直しが見られる中国での回復状況に言及した。
米中間の緊張の高まりを念頭に、世界経済のさらなる悪化を回避するためには、貿易摩擦の緩和や国境をまたぐ資本フローの改善を図ることが不可欠だとも強調。
「企業が業務を再開し、生産活動が行われ、労働者が再雇用されるような景気回復を望むなら、世界のサプライチェーンをさらに崩壊させてはならない」と述べた。
ゴピナート氏はまた、新型コロナ危機で大きな打撃を受けた国に十分な流動性を提供する必要があるとし、新興国や発展途上国が必要とする流動性はIMFが当初想定していた2兆5000億ドルを上回る可能性が高いとの見方を示した。
特別引出権(SDR)の新規配分枠を創出して流動性を供給する案には米国が反対しているが、ゴピナート氏は、引き続き全ての選択肢が検討対象になっていると述べた。