[北京 25日 ロイター] - 中国の鉄鋼業界団体や主要鉄鋼メーカーが、鉄鉱石の安定供給確保に向け、国内生産の拡大や海外探査への投資拡大の必要性を訴えている。
中国鋼鉄工業協会(CISA)の何文波会長は、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)と並行して北京で開かれている国政助言機関、全国政治協商会議(政協)で、中国は鉄鉱石の国内生産を需要の20%超に維持する「国家戦略目標」を掲げるべきだと提言した。
中国は世界最大の鉄鉱石消費国で、政府系シンクタンクによると、2020年の需要は12億2500万トンに達する見込み。だが、2019年は10億トンを輸入するなど、海外への依存が大きい。
今年の政協で代表を務める何会長は、輸入鉄鉱石に課されている増値税収入を国家鉄鉱石開発支援基金に充て、国内の鉱山開発を強化すべきとの考えを示した。輸入鉄鉱石の増値税収入は年間約900億元(126億1000万ドル)に上る。
何会長は、新規鉱山開発や既存鉱山の拡張に投資する鉄鋼企業の所得税を免除すべきとも主張。「主要鉱山会社との共同投資や提携を引き続き積極的に推進するとともに、アフリカやカナダの未開発資源にも重点を置くべきだ」と述べた。
さらに、環境への配慮からスクラップ鉄の回収と再利用を拡大する必要があると訴えた。
一方、全人代の代表を務める湖南華菱鋼鉄集団のCao Zhiqiang会長は、海外の資源探査に充てる特別基金の資金調達手段拡大を提案。同じく全人代代表を務める鞍山鋼鉄集団のTan Chengxu会長は、鉄鉱石の安定供給確保に向けた戦略策定加速を提案し、国内探査への強力な支援を求めた。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20200525T235538+0000