[モスクワ 5日 ロイター] - ロシア北極圏のノリリスクにある火力発電所の燃料タンクから燃料が大量に流出し、広範な環境汚染が広がっていることについて、プーチン大統領は5日、再発防止に向けた法令の改正を指示すると同時に、事故が起きた施設を保有する非鉄金属生産大手ノリリスク・ニッケル(ノルニッケル) (MM:GMKN)の筆頭株主のウラジーミル・ポターニン氏が適切な対応を取らなかったとして非難した。
事故が起きたのは5月29日。ノリリスク・ニッケルの主要生産施設の近くにある発電所の燃料タンクが圧力を失い、1万5000トンの燃料などが河川に流出したほか、6000トンが地面に流出した。これを受けプーチン大統領は今月3日に周辺地域に非常事態宣言を発令した。
ノリリスク・ニッケルは、永久凍土が溶け、燃料タンクを支える支柱が沈下したことが事故の要因だったと説明。ロシア検事総長は、永久凍土の上に建てられている全ての危険な建造物の点検を命令した。
プーチン大統領はテレビ会議方式で開催した会合で、類似の事故の再発防止に向け法令を改正するよう指示。ポターニン氏に対し「適切な時期に交換していれば、このような環境汚染は引き起こされなかった」とし、社内調査の実施を要請した。
ポターニン氏はノリリスク・ニッケルの株式34.6%を保有する筆頭株主。政府から罰金が課されるか推測できないとしながらも、除染作業にノリリスク・ニッケルが最大100億ルーブル(1億4500万ドル)を拠出する方針を示した。
事故を受けポターニン氏は解任されるべきとの見方が議員の間で出る中、大統領報道官はこの日、同氏の解任を否定した。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20200605T193322+0000