[香港 7日 ロイター] - 香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は7日の定例会見で、先週施行された香港国家安全維持法(国安法)は香港にとって「陰鬱な将来」を意味するものではないとの見方を示した。また、自身が法の内容を事前に全く知らなかったとの指摘は誤りだとした。
国安法は国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託を犯罪行為と定め、最高刑として終身刑を科す。6月30日午後11時の施行と同時に公表され、翌日には約10人が同法違反で逮捕された。
林鄭長官は7日の会見で、法の条文が公表される前に一部の内容は把握していたと述べた。ただ、条文全体を事前に見たわけではないとした。
その上で、香港では昨年民主化デモが続いたが、国安法によって世界で最も安全な都市の1つとしての位置付けを取り戻すと表明。特定の国に言及せずに「他国の国家安全法制と比べ、香港の国安法はむしろ穏健な法律だ」と述べ、「他国、そして中国の法律ほど適用範囲は広くない」と主張した。
長官はさらに、中国が香港に新設した治安維持機関が関与する事案は「まれ」になるとし、国家安全保障は「越えてはならない一線」だと強調した。
香港の報道関係者が国安法に違反しないと保証できるなら、香港での自由な報道を行政長官として保証するとも述べた。
香港政府が6日新たに公表した国安法の細則によると、治安当局は証拠物を押収するため各所への立ち入りや捜索を行う権限を持つほか、調査中の人物が香港を離れようとした場合、制限することができる。