白木真紀、田実直美
[東京 16日 ロイター] - 日産自動車 (T:7201)が2020年4―12月までの世界生産について前年同期に比べ約3割減の260万台近くを計画していることが分かった。複数の関係筋が16日までに明らかにした。前年同期は約369万台だった。
新型コロナウイルスの感染拡大が収束する兆しは見えず、新車需要が世界的に落ち込んでいることを織り込んだ。日産はカルロス・ゴーン前会長の拡大路線から脱却し、身の丈にあった生産と値引きに頼らない利益重視の販売戦略にも転換している。
内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は5月の会見で、21年3月期の新車需要について「全体で15―20%落ちる」との見方を示していた。コロナ感染拡大による都市封鎖(ロックダウン)などの影響も大きく、4月は米国、英国、スペインでの生産がゼロだった。6月からは販売の落ち込みも軽減されつつあるが、多くの国で販売店は休業を余儀なくされ、特に3―5月の新車販売は激減した。
前期(20年3月期)の世界生産実績は通期で約475万7000台だった。関係筋の1人は、4―12月期までの生産計画から判断すると、今期(21年3月期)の生産規模が前期並みを達成するのは難しいとみている。
ロイターによる概算では、日産の世界生産は7―9月期に約93万台を計画し、4—6月期の約51万台からは増えるものの、前年同期に比べると25%減となる。10―12月期の世界生産は約114万台とさらに伸びるが、前年同期比で約8%減となっている。
7―9月期は、日本国内の生産が同47%減の約11万台を計画、減少幅は、北米や中国などと比べ最大となっている。
4―5月の世界生産実績は前年同期比約63%減の30万7000台だった。6月の実績は7月末に公表される。
日産の広報担当者はロイターの報じた内容についてコメントを控えた。
*内容を追加しました。
(白木真紀、田実直美 編集:石田仁志)