[東京 22日 ロイター] - 公明党の山口那津男代表は22日、日本記者クラブで講演・会見し、野党の体制が弱いうちに衆院解散に踏み切るとの姿勢は国民の理解を得られないと強調した。新型コロナウイルスの感染再拡大を受けた国民の不安解消と経済再生を優先すべきとの考えを示し、政権・与党内の早期解散論をけん制した格好だ。
山口代表は衆院解散時期に関し「解散権を持たないのでコメントしない」としつつ、政府に対して「感染再拡大により経路不明者が増加しており国民の不安に対する説明が必要」と注文。「経済が落ち込んでおり感染拡大防止と両立できる経済回復が急務だ」とした。「解散権を持っている人が賢明に考えるだろう」と述べた。
その上で「野党との関係でいえば、(政権側が)体制を立て直さないといけない局面で、野党の体制が弱いから今のうちやってしまえ、との解散は国民の理解を得られない」と指摘した。
<GoTo事業「迷走感」出た>
観光支援策GoToトラベル事業の、開始時期前倒しや、東京都除外などの方針転換に関し、「感染スピードと政策にタイムラグがあり迷走感が出た」と指摘した。
来夏に1年延期された東京五輪に関し「1年後感染が収束している保証はないが五輪開催や可能な限り努力すべき」と強調した。
<首相個人の問題多い、説明責任尽くしてほしい>
2020年度1次補正予算の策定で減収世帯に対する30万円の給付を一律10万円の給付に転換した際、「対象範囲が限定的で実行すれば国民の分断を招く」と安倍晋三首相と進言した経緯を説明。その際、アベノマスクや自宅で犬とくつろぐ動画の公開など「評価する人もいるが社会の受け止めは違う」と政権に対する世論の厳しい受け止めを伝えたことも明らかにした。
政権・与党の支持率低下に関連し、与党批判は「モリカケ(森友・加計問題)や桜(を見る会の問題)など安倍首相個人の問題が多い」と指摘。自民党や首相に対して「国会や閉会中審査などで説明責任を尽くしてもらいたい」と要望した。
(竹本能文 編集:青山敦子)