[ワシントン 28日 ロイター] - バー米司法長官は28日、下院司法委員会の公聴会で、トランプ大統領の再選に向け職権を乱用したとの疑いを否定した。また、抗議デモへの対応で連邦治安要員を投入したのは適切だったとも主張した。
バー長官が下院司法委員会の公聴会で証言するのは2019年2月の就任以来初めて。証言は、白人警官の暴行で黒人男性が死亡した事件を受け、オレゴン州ポートランド、および首都ワシントンで行われた抗議デモへの対応に連邦治安要員を投入したことで司法省に対する批判が高まる中で実施された。
バー長官は、トランプ氏の大統領選挙での再選を有利にするために連邦治安要員が投入されたとの主張を否定。抗議デモで放火や暴力行為などが見られたとし、背後には極左集団「アンティファ」がいたと指摘した。
その上で、ポートランドの抗議デモで一部参加者が連邦裁判所の建物に物を投げつける行為も見られたことに言及し、こうした行為は「米政府への攻撃」だとし、連邦治安要員の投入を正当化した。
また、トランプ氏に近い人物らの訴訟に介入したとの批判をかわし、彼らは特別な対応を受けるべきでもなく、他者より厳しく扱われるべきでもないと指摘した。
同委員会の共和党議員らは、民主党がバー長官の発言をさえぎったと批判。ジム・ジョーダン議員は「証人が質問や批判への対応を認められない公聴会はこれまでなかっただろう」と語った。
一方、民主党の政治評論家らは同党の質問の仕方について、バー長官の大きな失態を回避しやすくする一方、逆にトランプ氏の選挙広告が大きく取り上げているデモ隊側の暴力行為を目立たせてしまったと指摘した。
民主党の政治コンサルタント、ハンク・シェインコフ氏は「バー長官の証言はトランプ氏再選戦略を改めて発表する絶好の日となった」と指摘。トランプ氏が郊外の有権者の重要な票を獲得する支援になるとの見方を示した。
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