[ブリュッセル/ロンドン 28日 ロイター] - 欧州連合(EU)と英国による通商など将来関係を巡る公式協議は28日、ブリュッセルで5日間の予定で始まった。双方ともに、合意はなお程遠く、既に締結した離脱協定の実施に関して意見の隔たりは埋まっていないと指摘した。
双方は非公式な協議を続けてきたが、漁業、公正な競争環境、紛争解決といった問題で対立が解消されていないほか、ジョンソン英政権が今月、離脱協定の一部を無効にする権限が盛り込まれた「国内市場法案」を議会に提出したことを受けて一段と混迷が深まった。
EU欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長は対EU交渉を担当するゴーブ英内閣府担当相(国務相)との協議後、「英国の立場はEUが受け入れられるものからは程遠い」と指摘。
国内市場法案が「現在の形で採択された場合、離脱協定と国際法の極めて重大な違反になる」と改めて強調し、10月半ばのゴーブ氏との再協議を前に早期の状況改善を求めた。
ゴーブ氏は記者団に「われわれは離脱協定が完全に履行されるよう図りたい」と述べた上で、国内市場法案に盛り込まれた離脱協定を無効にする項目はそのまま残すと言明した。
ジョンソン英首相の報道官は、英政府は通商交渉の進展を重視していると述べ「過去2週間の非公式協議は比較的前向きだったが、多くの課題が残されている」との見方を示した。
英政府は「標準的な自由貿易協定」を望んでいるだけだとし、英国の独立した国家という地位を反映しない規定を受け入れるよう迫られ続けていると不満をもらした。
10月2日までの協議では、エネルギーおよび輸送での協力なども取り上げられる見通し。現在予定されている公式協議の最終回となる。
10月1─2日にはEU首脳会議が予定されており、15─16日の次回会議前の対英交渉を承認するとみられる。
EUのフォンデアライエン欧州委員長は28日にポルトガルのリスボンで開いた記者会見で、英国との合意はなお可能だとの見方を示した。
英国は今年1月にEUを離脱し、離脱前の状態を維持する移行期間に入った。EUは英国との合意を欧州議会や一部加盟国の議会で批准し、年末の移行期間終了後の発効を可能にするには、10月末あるいは11月初めまでの合意の取りまとめが必要との立場を示している。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20200928T232144+0000