[シドニー 20日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(RBA)のケント総裁補は20日、同中銀による大規模な政府債買い入れと銀行への資金供給が景気支援につながっているとの認識を示し、債券買い入れの拡大を示唆した。
豪中銀はゼロ付近にある政策金利をマイナスに引き下げる計画はないとしており、ケント氏はバランスシートの拡大が新たな刺激策の主なツールになることを強調した。
ケント氏は、シドニーでの講演で「一部のツールは、より幅広い金利に対してこれまでよりもうまくコントロールできるよう、直接金利に影響を与える」と述べた。
中銀のフォワードガイダンスと3年債利回りを0.25%に維持する目標が、短期の借入コスト押し下げにつながっていると指摘した。
その上で「間接的に金利に影響を与える他の政策ツールは評価が難しい。しかし、刺激効果の程度はバランスシートへの影響を考慮することでとらえることが可能だ。私はこれを『バランスシート』ツールと呼ぶ」と語った。
豪中銀のバランスシートは、景気支援に向け3月に導入した政策措置を背景に、2020年6月までの1年間に970億豪ドル(692億米ドル)拡大し、2790億豪ドルに達した。
中銀は、計50ベーシスポイント(bp)の緊急利下げを決定し、3年債利回りを低水準に維持するため、「無制限」の債券買い入れプログラムを開始したほか、金融機関向けの低利の資金供給策を打ち出した。
エコノミストらは、豪中銀が来月の理事会で、政策金利を15bp引き下げ、過去最低の0.1%とし、政府債買い入れの対象に期間が長めの債券を含めると予想している。
ケント氏は20日の講演で、実際のインフレ率が持続的に2─3%の目標レンジ内になるまでは、キャッシュレートを引き上げないと述べ、中銀のフォワードガイダンスを繰り返した。
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