[ワシントン 30日 ロイター] - 「ファンシー・ベア」と呼ばれるロシアのハッカー集団が今年に入り、再び米大統領選に介入している動きが、事情に詳しい関係者の話から明らかになった。
ファンシー・ベアはロシア政府の情報機関傘下にあるとされ、2016年の米大統領選で当時の民主党候補ヒラリー・クリントン氏のスタッフの電子メールを盗み出した、と米司法省が18年に訴追している。
関係者によると、今回標的になったのはカリフォルニア州とインディアナ州の民主党や、ワシントンとニューヨークにある有力シンクタンクの電子メールアカウントだ。
先月にはマイクロソフト (O:MSFT)が、ファンシー・ベアは200を超える組織のハッキングを企てており、その多くが今年の大統領選に関係していると警告していた。ロイターが同社の分析資料を確認したところ、マイクロソフトはプログラミングのエラーに一定のパターンが生じた点から、ファンシー・ベアの攻撃だと判定したもよう。
マイクロソフトは、顧客の秘密を守るとの理由でこうしたロイターの報道に直接コメントしなかったが、コーポレートバイスプレジデントのトム・バート氏は、大統領選の安全を担保するため米政府との共同作業を鋭意進めていると述べた。
民主党全国委員会の広報担当者は、外国勢力が選挙に介入しようとしていることに「驚きはない」と語った。ただ同党のインディアナ州とカリフォルニア州の本部はいずれも、不正侵入の試みは成功していないと強調した。センター・フォー・アメリカン・プログレスなど標的になったとみられるシンクタンクも、ハッキングが成功した形跡はないとコメントしている。
在ワシントンのロシア大使館は、ロシアが米国の内政問題に干渉することはないと述べた上で、ファンシー・ベアとロシア政府がつながっているとの見方は「偽ニュースだ」と一蹴した。
米連邦捜査局(FBI)はコメントを拒否した。