[ワシントン/ウィルミントン(米デラウェア州) 12日 ロイター] - エジソン・リサーチによると、米大統領選の激戦州アリゾナ州では民主党のバイデン氏が勝利するとみられ、選挙結果を覆そうと法的措置に出ているトランプ大統領にとってさらに厳しい展開となった。
バイデン氏はアリゾナでの勝利により、選挙人290人を獲得し、当選に必要な過半数(270人)を上回る。得票数でも520万票(得票率で3.4%ポイント)、トランプ氏を上回っている。
一部の州で集計が続く中、トランプ氏はますます不利な状況に追い込まれている。
共和議員の間ではトランプ氏に対して、バイデン氏への政権移行に協力し、機密情報に関するブリーフィングをバイデン氏が受けられるようにすべきだとの声が高まっている。
トランプ氏は選挙に不正があったとして法廷闘争を繰り広げており、依然敗北を認めていない。一方、バイデン氏は政権移行の準備を着々と進めており、12日にはローマ教皇フランシスコと電話会談した。
大統領就任が内定した候補には、就任前に国家安全保障上の脅威を把握するために機密情報に関するブリーフィングが提供されるのが通例となっている。ただ、こうした引き継ぎは円滑に進んでいない。
ジョン・コーニン上院議員やリンゼー・グラム上院議員を始め多くの共和党議員は、トランプ政権はバイデン氏に機密情報に接する権限を与えるべきだと主張している。
米政府の元高官は、機密情報に関するブリーフィングをバイデン氏が受けることは政権運営の維持で重要だと訴えた。この中には、トランプ政権の元高官も含まれている。
民主党のペロシ下院議長とシューマー上院院内総務は、トランプ氏が政権移行に協力していないことを強く批判。また、新型コロナ景気対策の法案通過に協力するよう共和党に要請した。
政権移行チームによると、バイデン氏は12日のローマ教皇フランシスコとの電話会談で、貧しい人への対応や気候変動対策、移民や難民の社会への受け入れで協力したいとの意向を伝えた。
バイデン氏が大統領に就任すれば、ジョン・F・ケネディ氏以来、史上2人目のカトリック教徒の米大統領となる。
バイデン氏は、11日には副大統領時代に自身の首席補佐官だったロン・クレイン氏を大統領首席補佐官に指名するなど、政権移行を進めている。就任前に主要閣僚の選出を行うと予想されている。[nL4N2HY0HP]
<法廷闘争の継続に批判も>
共和党内からは、トランプ氏が法廷闘争を続けていることを疑問視する声があがっている。
オハイオ州のマイク・デウィン知事(共和党)は12日、CNNに対して「われわれはバイデン前副大統領を次期大統領と考える必要がある」と語った。
共和党の大口献金者として知られるシェルドン・アデルソン氏が保有するラスベガス・レビュージャーナル紙は論説で「選挙での不正がトランプ氏に影響を及ぼしたとの証拠はない。大統領がどれだけツイッターで反論し、支持者がそう願ったとしてもだ」と指摘した。
共和党のジョージ・W・ブッシュ政権で次席補佐官を務めたカール・ローブ氏はウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙への寄稿で、「法廷闘争の日々が終了した時点で大統領は平和的な政権移行を主導し、怒りを捨て、米国を団結させるために大統領としての役目を果たすべきだ」と主張した。
*内容を追加しました。