[北京 20日 ロイター] - 中国共産党が法定の定年退職年齢の引き上げを決定したことに対し、ソーシャルメディア上で批判が強まっている。
中国では2018年に60歳以上の人口が2億5000万人近くに達した。これは全人口14億人の17.8%に相当する。あるシンクタンクはこの比率が53年に33%を超える可能性があると予想している。
国営新華社通信は今月、当局は「退職年齢の延期を段階的に実施する」と伝えた。具体的な内容は示されていない。
「微博(ウェイボ)」のあるユーザーは20日「定年が延長されれば年金(の受け取り)が遅れる」と投稿した。
中国では公務員と事務職の退職年齢は男性が60歳、女性は55歳に40年以上据え置かれてきた。
別のソーシャルメディアユーザーは「定年延長は合理性も必要性もなく、国民の利益と健康が犠牲になって初めて経済発展があるというイデオロギー的な思考から来ている」と批判した。
中国はいわゆる「人口統計の時限爆弾」に直面している。2016年に最終的に廃止されるまで約40年間にわたって行われてきた一人っ子政策の影響もあり、高齢者人口が増加する一方で労働力が減少している。
20日付の証券時報は社説で「退職年齢の引き上げは避けられない」とし、海外では60歳以上の人が働くのは普通と指摘した。
高齢化は年金制度にも大きな圧力をかけることになる。政府の調査報告書によると、中国の年金は早ければ2035年にも「支払い不能」になる恐れがある。