[ブリュッセル/パリ/ロンドン 25日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は25日、英国との通商交渉で「純粋な進展」があったと述べた。
その一方で、12月31日の移行期間終了までに自由貿易協定(FTA)を結べないリスクも依然残っているとの認識を示した。
フォンデアライエン氏は欧州議会で「これからの数日間が鍵を握る」と指摘。「EUは英国の合意なき離脱のシナリオに十分な備えができている。だがもちろん合意するほうが望ましい」と語った。
「われわれに残された時間は極めて少ないが、合意に向けて全力で取り組む。創造力を発揮する用意がある。しかし市場の一体性に疑問が生じさせることはしない」と言明した。
主な争点は、英国水域での漁業権、公平な競争条件(国家補助金)、ガバナンス(紛争解決手続き)の3点だが、「競争が自由かつ公正なものであり続けることを保証するために、堅固なメカニズムを確立する必要がある。国家支援についての議論では例えば執行の点など、なお根深い問題を抱えている」とした。
あるEU高官は、合意が可能としながらも、早くて週末以降になるとの見方を示した。
フランスのルドリアン外相は議会公聴会で英国を非難。「英国は交渉期限を前に重要でない事項に拘泥し、交渉の足を引っ張っている。EUが合意内容より交渉期限を優先することはないと英国に伝えたい」と述べた。
その上で、合意が得られないまま英国が離脱する事態にEUは用意を整えているとし、「悪い合意よりも合意がない方が望ましい場合もある」と語った。
こうした中、英国のジョンソン首相は漁業権について、英国水域へのアクセス管理権を英国が握ることが条件で、EUはそれを受け入れる必要があると表明。ゴーブ内閣府担当相は24日、新たなパートナーシップ合意を結ぶためにEUは歩み寄るべきとの考えを示した。
英予算責任局(OBR)は、EU離脱により英国の国内総生産(GDP)が長期的に4%縮小するとの見通しをこれまでに示しているが、EUと通商協定で合意できないまま離脱すればさらに2%縮小するとの試算をこの日示した。
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