[ワシントン 25日 ロイター] - 米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領に対し、複数の軍縮団体などが、米ロの核軍縮の枠組みである新戦略兵器削減条約(新START)を無条件で5年間延長するよう求めた。
バイデン政権は来年1月20日に発足するが、その16日後には新STARTの期限が切れ、米ロ両国が戦略的核弾頭や、戦略的核弾頭を搭載するミサイル・潜水艦・爆撃機を無制限に配備できるようになる。
ロイターが入手した書簡によると、軍縮団体・環境団体など24団体は今月19日、共同でバイデン氏の政権移行チームに書簡を送り「気候変動対策や新型コロナ感染症対策で抜本的な措置が必要なように、核の大惨事が起きるリスクを減らすために、賢明で大胆な米国の指導力が直ちに必要だ」と訴えた。
多くの専門家は、新STARTが失効すれば、核兵器の開発競争が起き、米ロの緊張が高まる恐れがあると指摘。新STARTに基づく相互の現地査察が終了すれば、不正や軍事力の把握が難しくなるとの見方を示している。
バイデン氏の政権移行チームは、コメント要請に応じていない。
バイデン氏に書簡を送付したのは、軍備管理協会、シエラクラブ、カウンシル・フォー・ア・リバブル・ワールド、合同メソジスト教会など。
新STARTは、米ロ両国が同意すれば最大5年間延長できる。米国の一部の専門家は、ロシアに対する影響力を保持するため、延長期間を5年未満にすべきだと主張している。
バイデン氏は新STARTの延長を支持しているが、延長期間については明言していない。
ロシアのプーチン大統領は以前から、無条件で5年間延長することを求めている。