[ワシントン 25日 ロイター] - トランプ米大統領が10月に署名した大統領令によって米政府機関の職員が政権交代前に大量解雇される可能性が浮上しており、民主党議員や政府職員の労働組合などが解雇阻止への動きを活発化している。
民主党が多数派を占める下院の23の委員会・小委員会の委員長は61の政府機関のトップに対し、大統領令に基づき、解雇を容易にする形で連邦政府職員の分類を変更する計画がある場合は全て説明するよう求めた。
また、トランプ氏の政治任用者を専門職に既に充てた、あるいは充てる可能性を検討している場合に詳細の開示を要請した。下院監督改革委員会のキャロリン・マロニー委員長が筆頭執筆者の25日付の書簡によると、当初の回答期限は12月9日に設定されており、その後は2週間ごとの最新情報の報告を求めている。
これに先立ち、下院行政監視小委員会のジェリー・コノリー委員長とステニー・ホイヤー下院院内総務を含む民主党下院議員13人は24日、上下院の歳出委に書簡を送り、今後の歳出法案に同大統領令を無効にする文言を盛り込むよう求めた。
大統領令は政策策定に携わる職員を新設の「スケジュールF」という区分に分類することを認める内容。同分類の職員には従来のような雇用保証が与えられなくなる。政府機関は民主党バイデン前副大統領の大統領就任式の1日前に当たる来年1月19日までに職員区分の見直しを完了する必要がある。
大統領令は、トランプ氏が連邦政府の官僚制度を合理化し、職員により大きな説明責任を負わせ、「仕事ぶりが悪い人材」を排除する取り組みを進めていると記している。連邦政府の職員は全部で約200万人に上る。
民主党議員らは24日の書簡で、大統領令はメリット・デメリットを踏まえずに「政治任用を加速させ、エコノミストや科学者、データ分析者といった専門職員が適任のポストへの配置につながる」と批判。
上下院の民主党議員はこれとは別に、超党派の政府監査院に対し、大統領令が今後数週間の連邦政府職員の大量退職につながる可能性があるとして、実施を監視するよう求めた。
政治サイトのリアル・クリア・ポリティクスは今週、行政管理予算局(OMB)が局内の職員425人の88%を新たな区分に分類する計画の承認を求めたと報じた。OMBは取材に応じていない。
大統領令に対しては、連邦政府および首都ワシントンの機関で勤務する70万人が加盟する全米行政府職員連合などが強く反発している。
職員の再分類を承認する権限がある人事管理局(OPM)の広報担当は、見直し期間はまだ続いていると述べた。
バイデン氏は就任後に連邦政府職員を標的にした他の大統領令を撤回すると約束している。