[26日 ロイター] - ベネズエラが米制裁を受けて停止していた中国への原油の直接出荷を再開したことが、リフィニティブのEikonデータやベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の内部文書で分かった。
PDVSAの長年の主要顧客である中国国有の中国石油天然ガス集団(CNPC)と中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)は、米国がPDVSAへの制裁を強化し、同社と取引する企業を対象に含めたことを受け、2019年8月にベネズエラの港での原油や燃料の積み込みを停止した。
トランプ米政権は、ベネズエラのマドゥロ大統領の失脚を目指し、同国の石油部門に対する制裁を強化してきた。しかし、同国の石油輸出を完全に停止し、マドゥロ大統領の権力を弱めるには至っていない。
PDVSAの顧客はマレーシアへの出荷を増やし、海上で貨物を積み替えることで、制裁を潜り抜けており、ベネズエラ産原油の大半は中国に出荷され続けてきた。
PDVSA、CNPC、ペトロチャイナ、ベネズエラ石油省はコメント要請に応じていない。
米財務省の報道官は25日、「ベネズエラ石油部門での活動に関与する者は制裁を受ける可能性がある」と警告した。
出荷追跡サービス会社タンカートラッカーズ・ドット・コムによると、ベネズエラ産原油の中国への直接出荷を再開した最初のタンカーは「Kyoto」で、8月下旬にベネズエラの港で180万バレルの重質原油を積み込んだ。
また、PDVSAの出荷関連文書やリフィニティブのEikonデータでも、少なくとももう1隻のタンカー「Warrior King」が中国の港でベネズエラ産原油の積み降ろしを行っていることや、ペトロチャイナ所有の船舶2隻が今月、ベネズエラで原油を積み込んだことが示されている。
PDVSAの内部文書によると、Kyotoは「Wanneng Munay」と呼ばれる企業がチャーター。リフィニティブのEikonデータによると、アジアに向かう大部分のルートで、位置情報を知らせるのに使われる装置であるトランスポンダーを切ったまま航行し、11月初めに中国・大連の石油ターミナルで荷降ろしを行った。
過去に石油取引の経験がないロシア籍企業十数社が、ここ数カ月の間にPDVSAの顧客として浮上しており、Wanneng Munayはそのうちの1社だ。
同社からのコメントは得られていない。